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ピロリ菌は日本人の約半数に感染しており、高齢者ほど保菌率が高くなっています。2013年2月までは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、特発性血小板減少性紫斑病、胃MALTリンパ腫、内視鏡的早期胃癌治療後のいずれかの病気がある方のみ保険診療でピロリ菌の検査や除菌治療できました。しかし、上記の病気に該当しない方はピロリ菌の診断と治療は自由診療でしかできませんでした。
当院では開院来、ピロリ菌感染が胃がんの最大の原因であることを踏まえ、ピロリ菌の除菌を希望する方には、積極的に自由診療でピロリ菌除菌治療を行ってきました。ピロリ菌を除菌することで胃がんの発生のリスクが1/3に減るとされています。若いほど除菌による胃がん予防効果が高くなります。
2013年2月22日から、ヘリコバクターピロリ感染胃炎が保険適応の病気に追加になりました。ピロリ感染胃炎が保険適応になったことにより、すべてのピロリ感染者が保険診療で治療が可能になりました。やっと保険診療で胃がんの予防治療が可能になりました。
ヘリコバクターピロリ感染胃炎は
1)胃内視鏡検査で胃炎があることを確認
2)ピロリ菌に感染しているか確認
の2つを満たすことで診断します。胃内視鏡検査は最初に必須となります。
ピロリ菌の除菌はまず1次除菌薬(2種類の抗生剤と制酸剤)を1週間内服していただき、内服終了後5週後以降(通常4週後でも判定できることになっておりますがグレーゾーンの結果が出ることがあり、当院では原則5週目以降)に除菌の判定をします。現在では1次除菌で約9割の方が成功します。除菌が不成功であった1割の方は抗生剤を変更して2次除菌薬を1週間服用していただきます。同じく内服終了後5週目以降に除菌の判定をします。2次除菌治療の成功率も90%程で、1次除菌治療と2次除菌治療を合わせると除菌成功率は98%程と非常に高いです。2次除菌までで除菌失敗した場合は、ピロリ菌除菌のガイドラインに従って3次除菌治療を行うことができます。ただし保険診療は2次除菌治療までで、3次除菌以降は自由診療になります。
※除菌薬を内服後に除菌判定検査を受けていない患者さんがいます。ピロリ菌除菌で一番大事なことは除菌が成功したかどうかをしっかり確認することです。成人では一度除菌すれば通常再感染は起こりません。除菌判定検査は必ず受け、確実に除菌がされたことを確認してください。
※※除菌すれば胃がん発生のリスクは減りますが、胃がんにならないわけではありません。誤解の無いようにお願いします。除菌後も必ず胃の定期検査は受けてください。
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